1988年8月20日、静岡県浜名湖畔「渚園」で行われた
浜田省吾にとって
三度目の野外ライブ
「A PLACE IN THE SUN」。
5万5千人を動員したライブを記録した
膨大なオリジナルネガフィルムを
4Kデジタルリマスターと5.1chサラウンドミックスで
高臨場感を再現したライブ映像。
35年前の記録映像にも関わらず、
まるで当時のライブ会場の空気感を感じさせる
スペシャルなコンテンツに、世代を越えて21世紀の今、
感動をともにする。
1988年8月20日、静岡県浜名湖畔「渚園」で行われた野外コンサート
「A PLACE IN THE SUN」は浜田省吾にとって三度目の野外イベントである。
動員数は約5万5千人。当時のソロアーティストの単独イベントとして
最大動員数を記録した、日本のコンサート史上屈指の野外イベントだった。
ただ、その割に語られる機会も多くなかったのではないだろうか。
直接現場に足を運んだ東京のメディアや関係者も限られていたように思う。
しかも今でこそほとんどのコンサートやイベントが開催直後にパッケージ商品になる中で、
「渚園」の様子は89年に出た初の映像集「ON THE ROAD “FILMS”」にしか残されていなかった。
つまり、会場にいた人以外にその全体像を知る術がないというまさしく「伝説」のライブとなっていた。
なぜそうなったのかは、一重に浜田省吾というアーティストの独自な活動とライブに対しての姿勢に起因している。
今更語るまでもないだろうが、浜田省吾は既成のメディア、特にテレビの歌番組やワイドショーと一線を画していた。
年間100公演を超す地道なコンサート活動だけでここまでの地位を築いてきた稀有な存在である。
メディアの現場の若いスタッフの中にいた熱心なファンの口コミで「渚園」のことを知った人もいるはずだ。
もう一つは、ライブに対しての彼の考え方がある。なぜ映像を出すことに積極的でなかったか。
「ライブとライブビデオは似ているようで全く違うものだと思う」
という89年の雑誌で評論家・山本智志のインタビューに答えた浜田省吾の言葉が残されている。
その中で「渚園」について「この映像を見てあらためてこんなに
規模の大きいコンサートだったのかと驚いた(笑)」という発言があった。
あれから35年。今、あのライブを映画館で観ることが出来るのか、
という快哉に似た驚きはそうした背景があってこそなのは言うまでもない。
倉庫に眠ったままになっていた膨大な16ミリオリジナルフィルムが蘇った。
当時の空気を感じさせるアナログフィルムの質感に感慨を覚えるのは僕だけではないだろう。
4Kデジタルリマスターという最先端の技術がいかに驚異的なものか。
5.1チャンネルの最新ミックスも加わって当時は不可能と思われた臨場感を体感することが出来る。
ここ数年、映画館が新しい音楽空間として脚光を浴びているのは2018年に限定上映された
『SHOGO HAMADA ON THE ROAD 2015-2016
旅するソングライター “Journey of a Songwriter”』の大ヒットが証明済みだ。
1988年の夏。あの日足を運べなかった人はもとより、
客席にいた人にとっても懐かしさに留まらない新しい発見があるはずだ。
浜田省吾は86年のアルバム「J.BOY」で初のアルバムチャート一位を達成。
88年はその続編ともいえるアルバム「FATHER'S SON」を発売して二作連続で一位を記録。
88年のツアーはホール、アリーナを含めた100公演のロングツアー。
彼は35才。ライブアーティストとして最もアグレッシブだった時期に行われたのがこの「渚園」だ。
更に、そのツアーの最中、89年1月に昭和が終わり平成になった。
昭和の最期を飾る歴史的な野外イベントだった。